ホームを訪ねて

穏やかに晴れた春うららの日、義姉さんといつもいつも気に掛かっていた、
身内のお見舞いに行くことになりました。
何を持っていけば喜ぶだろう・・・何を持って行っても判ることはない・・
そんなこんなだけど、お花屋でピンクのチューリップ・春の花スイトピー・カスミソウ・真紅のばらを
一抱え買いました。

特別養護老人ホームの玄関は明るくて、にこやかな事務員が応対してくれました。

さ〜てともう何年もあっていない・・・どんなだろう?

車椅子に乗って、寡黙に無表情な人たちがホールに集まっていました。
10時半を過ぎていましたが、昼食を待つのだろうか?
 テーブルはきれいに整然とされ、働く方達が忙しく気配りしながら、
動いているのが伝わってきました。

案内されて、車椅子には名前も付いていました。
「○○さ〜ん、わかる〜?」大きな声でよび掛けてみました。
「・・・」何の反応もない、ただぼんやりと、薄目を開いて、無表情で大きな口をそのまま空けている。
勿論そんなこと承知で出掛けました。

「判るかね〜?」手を握って話しかけると、かすかな反応で、口ごもっている、
話がしたげにすると、もう咽にたんが絡んで切れない様子に
看護師さんはすぐに吸入へ連れていかれた。
些細なことでも、やっぱり苦しめるんだな〜・・・
ちょっとの変化もみ落とさないですぐにあの適切さ、
またにこにこと生き生きとした動作には、感心しました。

胸の中にはいっぱいのことが残りましたが、働く方々に感謝しながらホームを後にしました。

誰もやがては行く道だけど、4人に一人は高齢になる社会も間近、どうするんだろう?・・・と
施設に入って、あのようにみてもらえるのは、判らないながらも幸せだろうに・・・
我が身に降りかかってくることで、考えさせられました。

のどかな田んぼ道に咲くれんげ、つくしのぼうや、ねぎぼうずなど眺めながら、
待ってもまだまだ来ることのないバスを 次のバス停留所まで、我が心を静めるかのように
義姉さんと歩いて、タクシーを呼んで、帰路につきました。

何一つしてあげられることも出来なくて、行って会えたという自己満足だけにすぎず、
胸のつかえは楽になったような、ならなかったような、そんな気分になりました

04.03.29